前歯や奥歯で本来噛み合うはずの歯がうまくあたっていない状態を開咬と言います。
開咬になる原因として、舌の位置やお口の周りの筋肉も大きく影響していると言われています。
毎日の習慣や癖が大きく影響することなので、大人になってからでは治療が難しくなる傾向にあります。
そのため、子供のうちから治療することが望ましいと言われます。
→開咬の治療のリスク:開咬は治療が難しく、
Ⅰ期治療
治療例①
・主訴(矯正を受けたいと思った理由):前歯で噛めない
・診断名:歯性・骨格性開咬
・初診時年齢:11歳2か月
・治療に使った装置:Ⅰ期治療…タングクリブ、MFT(筋機能療法)
・治療期間:Ⅰ期治療…動的処置1年、その後永久歯交換完了まで観察
・治療費概算:Ⅰ期治療40万円ほど
・開咬の場合10歳ごろまでに治療を始めるほうがいいといわれています。
10歳を過ぎると骨格的に開咬の傾向が進んでしまい、治療が難しく、また、将来的に抜歯や手術適応となる可能性が高くなるからです。
この患者さんの場合、時期としてはやや遅く心配していましたが、舌の癖による開咬の傾向が強かったためタングクリブで舌をよけると短期間でかなりの変化が見られました。
ただ、このような患者さんの場合装置を外すとまたすぐに元の状態に戻ってしまうので、装置がなくても舌を歯にあてないような訓練が必要です。
そのため、続けてMFT(筋機能療法)を行っていきました。
↑矯正治療相談時の写真です。この時小学5年生でした。
舌を前に出す癖(舌癖)がありましたので、舌を前に出せないような固定式の装置を使いました。
↑このように、原因を取り除くことで驚くほど速く歯並びがよくなっていくことがあります。
治療例②
・主訴(矯正を受けたいと思った理由):前歯で噛めない
・診断名:歯性開咬
・初診時年齢:7歳9か月
・治療に使った装置:Ⅰ期治療…拡大床装置、取り外し式のタングクリブ、MFT(筋機能療法)
・治療期間:Ⅰ期治療…動的処置2年、その後永久歯交換完了まで観察
・治療費概算:Ⅰ期治療40万円ほど
・装置を取り外しにしたため、あまり積極的に使わず時間がかかりましたが、小さい時から始めたためこのまま永久歯にきれいに生え変わりました。
矯正治療後の観察期間もMFT(筋機能療法)はお家でしっかり続けてもらっていました。
矯正治療開始時の写真です。小学2年生でスタートしています。
装置と舌の訓練を併用しました。
装置の使用時間が少なかったことも原因かと思いますが、治療には時間がかかっています。
でも、大人の歯の生え変わりにうまく合わせたため前歯がよってきたのがわかります。
このように、子供のうちから治療をスタートすることで習慣から治していくことができます。
Ⅱ期治療
治療例③
・主訴(矯正を受けたいと思った理由):ガタガタ、前歯で噛めない、しゃべりにくい
・診断名:前歯部叢生を伴う開咬
・初診時年齢:25歳2か月
・治療に使った装置:Ⅱ期治療…マルチブラケットシステム(MBS)、トランスパラタルアーチ(TPA)、リンガルアーチ(LA)、歯科矯正用アンカースクリュー(TAD)
・抜歯部位:上顎左側第1小臼歯、上顎右側ならびに下顎両側第2小臼歯抜歯
・治療期間:Ⅱ期治療…2年9カ月
・治療費概算:スクリュー代を合わせて90万円ほど(*当院の治療費に換算しての概算です)
・虫歯の治療をして歯の神経を抜いていたため、上の前歯のうち2本は変色しています。
こういった歯に関しては矯正ではなくウォーキングブリーチといった歯の漂白などをしないと白くはなりません。
また、大人になるほど舌やお口の習癖などは直しにくく保定が長くなる傾向にあります。
↑初めてこられた時の写真です。前歯がしっかりかみ合っていません。また、ガタガタも見られます。
↑歯を抜いて、前歯のかみ合わせとガタガタをなおしていくことになりました。
↑治療終了時です。ガタガタもきれいになおり、前歯もしっかりかみ合っているためうどんが前歯で噛み切れる、と喜んでいただきました。