下顎前突(受け口さん)の治療例を紹介します。

・主訴(矯正を受けたいと思った理由):受け口
・診断名:歯性・骨格性下顎前突
・初診時年齢:11歳6か月
・治療に使った装置:Ⅰ期治療…リンガルアーチ(LA)、チンキャップ
Ⅱ期治療…マルチブラケットシステム(MBS)
・抜歯部位:非抜歯
・治療期間:Ⅰ期治療…動的処置半年、観察期間1年ほど
Ⅱ期治療…2年1カ月
・治療費概算:Ⅰ期治療38万円、2期治療と合算で85万円ほど(*当院の治療費に換算しての概算です)
・受け口さんの場合はⅠ期治療で前歯の位置が改善したとしても顎が成長するにしたがって受け口が再発する可能性があります。
 この患者さんの場合はⅠ期治療で受け口が改善したあとそのまま成長が歯並びに影響せずに済んだため、Ⅱ期治療で抜歯もせずにMBSのみで治療を終えることができました。

このような受け口さんの場合、成長の仕方によってはⅠ期治療をしても受け口がひどくなりⅡ期治療時に抜歯や外科矯正治療が必要となる可能性があります。
Ⅰ期治療を行うことでこのようにひどくなる可能性を少しでも減らすことが、早期治療の大きな目的です。

→下顎前突の治療のリスク:いったん良くなっても成長に伴い受け口が再発する可能性があり長期間となることがあります。歯を移動させるため、歯肉退縮や成長の状況によってはⅡ期治療で抜歯や手術をしないと受け口がなおらない可能性、手術を併用する場合全身麻酔や手術に伴う身体的リスクが伴うなどが考えられます。
一般的なリスクはこちら 

Ⅰ期治療

下顎前突_初診

↑初めて相談に来られた時の歯並びです。永久歯の交換期で、機能性に受け口となっている(歯の位置が影響して下顎を前に出して噛んでいる)傾向がみられました。

下顎前突_1期治療中

↑このように、前歯の位置を良くしてまずは顎の位置や大きさを確認しました。
骨格的にも受け口さんの傾向があるため、チンキャップを使用しながらすべての歯が永久歯に交換し顎の成長が終わるまで様子をみていきました。

下顎前突_2期開始時

↑大人の歯にしっかり生え変わりました。下顎の成長もストップしていることを確認しました。
ガタガタもわずかですので、歯を抜かずに2期治療(大人の歯の治療)を開始しました。

Ⅱ期治療

下顎前突_ブラケット

↑ブラケットをつけて、歯をいい位置に移動させていきます。

下顎前突_終了時

↑治療終了時です。受け口も、ガタガタもきれいになおりました。

下顎前突_治療経過

↑最初からの治療経過です。このように、ちょっとシビアな受け口さんでも早めの治療で歯を抜いたり手術をしたりせず治療出来る場合があります。